冠婚葬祭の味方?互助会のトリセツ

人生の重要な節目に備える互助会。その仕組みと、加入のメリット・デメリットの両面から解説いたします。

相談者からの質問

私は新婚の30代男性です。友人の冠婚葬祭業者から、結婚したのなら互助会に入った方がいいというアドバイスを受けました。友人によると、互助会に入っておくと自分が亡くなったときにも葬儀にお金が掛からず、それ以外にも色々なサービスを受けられるし、家族も同様のサービスを受けられるということでした。まだまだ長い人生だと思っていますが、積み立ての意味で互助会に入るのもいいかと思いましたが、実際どうでしょうか。

回答

互助会とは、相互扶助の精神のもと、冠婚葬祭に備えて毎月お金の積み立てを行う組織のことです。これによりいざ葬儀が必要になったときに、まとまった金銭負担をしなくていいわけです。官公庁や大企業が共済会や社員会という名の下で運営されている場合もありますが、実際には、民間の冠婚葬祭企業が運営しているパターンが多いです。貴方のケースもそのパターンのようです。

年金保険や共済と似ていますが、これらが現金を受け取るものであるものに対して、互助会は、積み立てたお金を葬儀等のサービスとして受けるものである点が異なります。

互助会に入るメリットは、葬儀費用はもちろん仏壇の購入や結婚式にも使えたり、レストランでの会員専用の割引サービスを受けられたりする点にありますが、最大のメリットは、万が一のことが起こった時に遺族が慌てて葬儀会社を探さなくていい点にあると思います。

ただ、上記のメリットのために互助会に入会するという選択が本当に正しいのかは、慎重に検討しましょう。

多くの互助会においては、満額積立前に亡くなった場合、差額を支払えば満額積立の場合のサービスを受けられます。また、満額以上のサービスを受けたい場合はやはり差額を支払ってそのサービスを受けるわけです。そうするとこれは、例えば50万円のサービスを50万円で買うという当たり前のことなのです。また、互助会によっては解約をする場合の解約手数料が高かったりする場合もあります。ですので、相互扶助という側面は既に減殺されています。

そうであれば、葬儀費用については、貯蓄や生命保険金で工面するということで構わないという考え方もできそうです。毎月の積立金を互助会ではなく投資運用に回す方がいいという人もいるでしょう。一方で、上記のような互助会ならではのメリットに魅力を感じる人もいるでしょう。

まとめ

今回は、互助会について解説いたしました。メリットとデメリットを理解した上で、貴方の状況や嗜好に合った選択をするとよいでしょう。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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