親が会社の創業者で、非上場株を持っていた場合、その株式は子に相続されることが多いようです。ただ、非上場株を相続人として受けとった子は、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか?
今回は、相談者様の質問に回答する形でこの問題について解説していきます。
相談内容
先日70代の父Aが亡くなりました。父はもともと小さな非上場企X社の創業者でもあり、死亡時は少量ですが株式をもっていました。遺言は有りません。相続人は私と弟です。父の遺産は半分ずつわけようという話はしていますが、特に書面を交わしたりはしていません。この企業でそろそろ株主総会が開かれると思いますが、何も連絡がないので苦々しく思っています。
回答・解説
まず、この株式を相続した場合、X社に対して、自分がAの相続人であり、株主名簿をAから自分に書き換えるよう要求しないといけません。その上で、株主名簿が書き換えられれば、正式に株主として権利行使ができるということになります。A社がいつの間にか名簿を書き換えてくれているというようなことはありませんのでご注意下さい。
また、相続をする場合には、相続税申告の問題もありますので、あなたが相続した株式の価値を金銭評価しなければなりません。ですので、一般的には税理士さんまたは会計士さんに株式評価を依頼する必要があります。
また、遺言書がなく、相続人が複数の場合には、相続人間で遺産分割をして、遺産分割協議書を作成しないといけません。そうじゃないと、会社側としても誰が何株保有しているかが確定できないからです。
株主総会については、X社が取締役設置会社なのか非設置会社なのか、定款変更がなされているか等によって異なりますが、あなたに招集通知が来ないことがありえます。また、招集通知が来たとしても株主名簿の書き換え前に権利行使をするためには、遺産分割協議が終了しておりあなたが過半数の権限をもつということを示す書面が必要です。
ですので、株主としての権利行使をしたいのであれば、できるだけ早く、株式の相続手続きを行いX社に名義書換の依頼をするのがいいと思います。詳しくは相続と中小企業に詳しい弁護士さんにご相談下さい。
なお、株主としての権利行使に興味がないのであれば、会社に対してあなたの持ち株を買ってもらうという手もありますので、X社に対してその旨問い合わせるのもいいでしょう。