人生100年時代の老後資金対策~長寿のリスク~

「人生100年時代」と呼ばれる今日、多くの人が直面する課題が長寿リスクによる資産の目減りです。平均寿命が延びるにつれ、老後の生活資金が不足するリスクが高まっています。今回は、老後の安心を支える対策について解説いたします。

相談者からの質問

私は40代女性です。個人事業主として働いており、コツコツ貯金をしています。退職金というものがないので、老後は年金暮らしをし、足りない部分は貯金を切り崩していくことになりそうです。ただ、そのような生活だと、貯金がいつかは尽きると思います。長生きをしたいと思っていますが、資産の目減りが心配です。

回答

人間の寿命がどんどん伸びている現在、退職後は貯金を切り崩していく生活スタイルだと、長生きすればするほど資産がゼロに近づく不安と背中合わせになる、という状況に陥ります。これを「長生きリスク」と言います。このリスクを避けるためには、資産の寿命も伸ばす必要があります。

そこで、今までの人生設計を変更する必要があります。貴女の場合、例えば、健康を維持してできるだけ長く働く。小規模企業共済に加入する。つみたてNISAやiDeCoを活用して資産運用するなどです。保守的な方に取り急ぎおすすめなのは、終身年金への加入です。終身年金は、長生きすればするほど積立合計金額よりも多くの金額を受け取れるわけですので、長生きをすることがリスクではなくリターンとなります。厚生年金のないフリーランスの方は国民年金保険に上乗せする国民年金基金の終身年金型に入るのがいいでしょう。

一般論として、終身年金型の場合保険料が割高になります。確定年金型(=受給期間が決まっているもの)の場合は、そもそも長生きリスクを解消することはできませんのでご留意下さい。 なお、個人年金保険という似たような名前の民間保険がありますがこれと混同しないようにしましょう。民間保険は公的年金で不足する場合に初めて契約を検討するものです。

まとめ

長寿化時代の資産枯渇問題を解決する「長生きリスク対策」について解説しました。健康維持による長期就労と、小規模企業共済、つみたてNISA、iDeCoの活用等が有効ですが、特に終身年金は長生きがリターンとなり、保守的な方にはおすすめです。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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