今回は事業承継に関するご質問について解説いたします。非上場企業の株式を受け継ぐ場合、相続税の支払いはどうなるのでしょうか?
相談者からの質問
私の家は代々商売をやっており、今の会社は私の父が筆頭株主であり3代目の社長です。父からは私が長男であることもあり、この会社を継ぐことが期待されています。ただ、会社の株価が向上しているので、私個人がこの株式を相続したり、贈与を受けたりした場合に、相続税や贈与税を払えるとは到底思えません。かといって第三者に株式を売却されるのも困ります。私はこの会社を承継していいのでしょうか。
解説
先代の資産を相続した場合には相続税、贈与を受けた場合には贈与税がかかるのが原則です。しかもこれらの税金の税率はかなり高いです。社長が変わるというだけなら問題ないのですが、非上場企業の株式もまた遺産の一つですので、これを相続すると相続税を払わなければならず、その金額によっては個人で払うことは到底できず、しかし非上場企業ですのでその株式をむやみに第三者に売却してはスムーズな経営が損なわれるというジレンマに陥ります。
そういう場合のために、事業承継税制という制度がありますのでこれを利用しましょう。これは、後継者である相続人や受贈者が、都道府県知事の認定を受けている非上場会社の株式を取得した場合、一定の要件の下、相続税・贈与税の納税を猶予されます。その後その後継者の死亡等によって、猶予されていた相続税・贈与税の納付が免除される、という制度です。
この制度を利用すれば、あなたは税金の負担を負うことなく安心して事業を承継し、経営に専念することができるようになります。
この制度は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(通称:円滑化法)に基づいて行われるもので、事前の承継計画策定や適用期限や担保の提供など色々と細かな条件はあるのですが、是非検討してみるといいでしょう。まずは税理士さんに相談することをおすすめします。