電子メールは私たちのコミュニケーションに欠かせない手段となっています。メールアドレスを持っていないという方はほぼおらず、メッセージボックスには大切なメッセージや文書、写真が保存されています。
しかし、私たちがこの世を去った後、私たちの電子メールのデータは誰によってアクセスされるのでしょうか?電子メールアカウントの所有者が亡くなった場合、そのアカウントのデータにアクセスする権限はどうなるのでしょうか?また、そのデータは法的に保護されているのでしょうか?
今回は、私たちの死後における電子メールデータの扱いについて、相談者さまからの質問に回答する形で、解説していきます。
相談内容
私は、普段スマートフォンもパソコンも使っています。インターネット上でいろいろなサービスを利用していますが、電子メールについてはOutlookのアカウントを持っていて、これを使うことが多いです。このOutlookのフォルダ内の私のデータについては、私の死後、どのように扱われるのでしょうか。相続人が見たり管理したりする権利をもつのでしょうか?
回答・解説
電子メールは、スマートフォンやパソコンなどを使って、ネットワーク上でデータのやりとりをするサービスですが、やり取りしたデータが端末そのものに保存される場合(=オフライン)と、メールサーバー内に保存される場合(オンライン)があります。後者の場合は一般的には契約しているサーバー業者が管理するサーバー内に保存されます。
データそのものは法律で保護される「動産」ではないのですが、端末自体は動産ですので、この端末の所有者が結果として端末内のデータも所有することになります。なので、端末に保存されたデータは端末を相続した人が閲覧・管理できることになります。
一方、サーバー内に保存されたデータは、そのデータそのものに財産的価値が評価されるような例外的な場合を除いて、相続財産とはならないと思われます。つまり誰のものにもならないということです。
サーバー業者と利用者との間で交わされた規約によって、利用者の死後は相続人に契約上の地位が承継されるといった場合は相続人がデータを利用・管理できることになりますが、実際には、そういったケースは稀だと思います。