時代は変わり、LGBTの権利と平等に対する意識は、社会全体で急速に進化しています。しかし、法的な規定や制度はこの進歩に追いついていない場合があります。その中で、同性パートナーの財産相続に関する問題は、LGBTコミュニティにとって深刻な懸念事項です。
今日、異性カップルの間では結婚に基づく財産相続権が法的に保護されていますが、同性カップルには同様の権利が十分に認められていないのが現実です。
では、どうしたら同性パートナーに自分の財産を相続することができるのでしょうか?本コラムでは、相談者様からの質問に回答する形で、この問いに答えていきます。
相談内容
私は戸籍上は女性ですが男性として生活しています。いわゆるLGBTなのですが、一生をともに誓った女性のパートナーAがいます。そこで気になるのが、私が亡くなった場合に私の財産は彼女に相続されるのでしょうか。相続できないとしたら私はどうしたらいいでしょうか。私には子供はおらず、両親は健在で、兄弟もいます。ちなみに、住んでいる自治体のパートナーシップ制度を利用してパートナーシップの証明書はもらっています。
回答・解説
あなたの相続人が誰かという問題となります。パートナーシップの証明書があるとしても、このことによってAさんが相続人になるわけではありません。今後法律が変わるかもしれませんが、現時点では、相続人は、あなたのご両親となりますし、ご両親が他界した場合でも兄弟が相続人となります。
ですので、あなたの財産をAさんに遺すためには別の方法を取らなければならないです。
選択肢としては主に3つあるかと思います。
- 遺言書を作成しておく
これによってAさんにあなたの財産を遺すことができます。ただ、遺留分と言ってご両親には最低限度保証される相続分がありますので、すべてをAさんに残せない場合もあるということは注意しておきたいところです。 - 死因贈与契約をしておく
遺言書を作成する場合と似ていますが、あなたとAさんが契約をするということです。ただ、これも上記で書いたように遺留分の問題がありますので注意しておきましょう。 - 養子縁組をする
例えば、Aさんをあなたの養子とするということです。そうすれば、Aさんはあなたの子としてすべての財産を相続することができます。
一番現実的なのは公正証書遺言書を作成することだと思います。早ければ早いほどいいと思います。今すぐにでも弁護士などの専門家に相談しましょう。