2023.11.29
終活において、年金制度は不可欠な要素です。しかし、多くの人々が年金制度について十分な知識を持っていないのが現実です。
先日、年金制度について理解を深めていただく目的で、「エンディングノートに書くべき保険と年金の話」というテーマでオンラインセミナーを開催いたしましたが、今回はその内容を少し要約してお届けいたします。
本記事では、年金制度について解説し、老後の生活が年金だけで成り立つのかという問いについて考えていきたいと思います。年金制度の全体像や、その種類について解説します。また、終活の一環として、年金制度について理解を深めることの重要性についても考えていきます。
年金制度についての正確な知識を身につけることで、老後の生活により安心感を持つことができるでしょう。ぜひ、この記事を通じて年金制度について学んでいきましょう。
そもそも年金とは?
年金は、実は「保険」の一種です。私たちの人生には、様々なリスクがともないます。そして、そのリスクの多くは予測することができません。そのため、あらかじめ保険料を納めることで、必要なときに給付を受けられるのが日本の公的年金制度です。
年金制度の全体像
年金制度は、国民年金(基礎年金)を基礎とした「3階建ての構造」になっています。
1階部分は国民全員加入の「国民年金」、2階部分は職業に応じた上乗せ給付を行う「厚生年金」です。この1・2階部分は「公的年金」といい、国が社会保障の一環として運営しています。
3階部分には、企業や団体が運営する「企業年金」などがあります。
参照:住商連合企業年金基金
年金保険の3つの種類
年金保険には3つ種類があります。それぞれの役割を正しく理解し、いざというときに役立てましょう。
老齢年金
長生きのリスクに備える年金です。
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。
20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金や厚生年金の加入期間等に応じて年金額が計算されます。
原則65歳から一生涯定期的に定額を受給することができ、60歳から65歳までの間に繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や66歳から75歳までの間に繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」の制度があります。
障害年金
病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになるリスクに備える年金です。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
遺族年金
国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。
亡くなった方の年金の納付状況・遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件をすべて満たしている場合、遺族年金を受け取ることができます。
参照:日本年金機構
老後は年金だけで生活できるのか?
年金の仕組みが分かったところで、果たして年金だけで老後生活していくことができるのか?という問いについて考えてみたいと思います。
この問いに対する回答は、どうしても個人によって異なるため、終活の一環として以下の問いに対する回答を考えてみてください。
- ・年金はいつからいくらもらえるのか
- ・保険金はいついくらもらえるのか
- ・老後の生活費はいくらかかりそうなのか
- ・足りない分はいくらなのか
- ・それを補うためにはどうするか
- ・今入っている保険は必要なものなのかどうか
上記の質問に対する回答を考えてみた結果、どうやら年金だけでは生活することが難しそうだということがわかったら、私的年金(iDeCoなど)や、年金の繰り下げ受給などを検討してみましょう。
早い段階から、終活を通じて自分が将来もらえる年金について整理しておくことで、万が一に備えることができます。
まとめ
この記事では、終活する上で知っておきたい年金の話について解説しました。年金は、老後の生活を支える重要な制度です。まず、年金制度の基本的な仕組みや種類についてご紹介しました。さらに、年金だけで生活できるのかという問いについても考えていきました。
年金制度を活用して、老後の基本的な生活費を補填することもできますが、年金だけに頼るだけでは生活が厳しくなる可能性があります。個人の生活スタイルやライフスタイルに合わせて、年金だけで生活するかどうかを考える必要があります。
よって、終活を通じて年金制度について理解を深めることをお勧めします。年金でいくらもらうことができるのかを考えることに加え、個人年金や貯蓄、投資など、老後の生活を支えるためのさまざまな手段についても検討してみることが大切です。
終活を通じて年金制度についての知識を深め、自分や家族の未来をしっかりと考えることをお勧めします。正しい情報を得て、具体的なプランを立てることで、安心して老後を迎えることができるでしょう。終活をする上で、年金制度について理解を深めることは、より充実した人生を迎えるための重要な一歩です。
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