資産管理をプロに任せたい

資産管理のプロと聞くと、富裕層向けのプライベートバンクをイメージされる方が多いかもしれません。プライベートバンクの利用は、一般的には純資産保有額が1億円以上であることが目安と言われています。今回はプライベートバンクについて解説いたします。

相談者からの質問

私は60代男性です。事業が成功しある程度大きな資産を築きました。もうこれ以上資産を大きくしたいとは思っておらず、逆にこの資産を守って次世代に引き継がなければいけないという思いを持つようになりました。とはいえ、私一人ではどうしていいかわからないというのが正直なところです。誰にどんなことを任せることができるのか、教えて下さい。

回答:純資産保有額が1億円以上の富裕層であれば「プライバートバンク」の利用が考えられます

プライベートバンクとは、資産運用や相続対策など、資産に関する様々な対応をしてもらえる金融サービスです。

もともとはスイスで始まった資産管理サービスとして有名ですが、最近は日本でもプライベートバンクサービスが増えつつあります。

日本では、プライベートバンクという銀行があるわけではなく、大手金融機関が富裕層向けにプライベートバンク部門を作っているという位置づけです。資産を大きくするというよりは、資産を守り次世代に引き継ぐことを目的としていますので、貴方の大きな味方になってくれると思います。

プライベートバンク部門の利用は富裕層に限られ、一般的には純資産保有額が1億円以上であることが目安と言われています。ここでいう純資産には、流動性の低い不動産や自社株はカウントしないとも言われていますが、情報は不透明で、それ故にプライベートバンクを利用することが一つのステータスになっているとも言えます。

プライベートバンクサービスを利用することで、資産全体を包括的に管理してもらえる上に、全体的にコンサルティングが受けられる点で効率的な運用ができるようになるでしょう。また、資産管理だけでなく、資産の承継についても、貴方の負担を軽減してくれるでしょう。また、一般の顧客が知らないサービス、例えば、VCファンドへの投資の紹介やIPO株の優先割当を受けられるメリットもあるでしょう。

もっとも、海外のプライベートバンクと異なり、日本では金融機関の一部門がビジネスとしてサービスを行うものなので、金融機関の収益性が優先してしまう可能性はあります。また、結局は金融機関の職員が担当者になるので転勤などで担当者変更もあり、プライベート感はなく、長期的な関係を築くのは難しいかもしれません。

そういう場合は、上記プライベートバンクサービスを受けるのとは別に、信頼できる独立系FP(ファイナンシャルプランナー)や、顧問弁護士や、顧問税理士、など個々のプロフェッショナルと長期の関係を築くのもおすすめです。

まとめ

今回は、プライベートバンクについて解説いたしました。

プライベートバンクは、金融機関にもよりますがおおよそ純資産1億円以上の富裕層向けサービスで、資産運用や次世代への資産承継をサポートしてくれます。独立系FPや弁護士等と連携することでより安心度の高い資産管理となることでしょう。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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