「老後の準備はまだ先のことだから…」「終活なんて気が重いから…」そんな風に考えている方も多いかもしれません。しかし、終活を後回しにすることは、将来に不安を抱える原因となることも少なくありません。
時が経つのはあっという間。未来の自分や大切な家族のために、今から終活に取り組むことはとても重要なことなのです。そこで、このコラムでは「終活をやらないとどうなるか?」という視点で、終活をやらなかったときのリスクや、終活をおこなうメリットについてまとめてみました。
終活とは何か? 何歳から始めるべきなのか?
終活とは、人生の終わりを見越して行う活動のことを指します。「終活」という言葉を聞いてネガティブなイメージを持たれる方も多くいらっしゃるとは思いますが、終活は身辺整理や資産整理をすることだけでなく、生き方を見直し「自分らしく人生を終える」ための活動です。
セカンドステージをいきいきと安心して過ごすためには、終活はとても重要な役割を果たします。
終活を怠るとどんなリスクがあるか?
終活は、どんな点でリスクがあるのでしょうか?終活をやらないことによって生じる不利益について、3つにまとめてみました。
①自分の意思が反映されない
終活は、自分が望むような最期を迎えるために重要なプロセスであり、その中心には自分の意思を明確にすることが必要です。
もし終活を行わないままでいると、重要な医療や治療に関する意思決定ができなかったり、遺言書を残す機会を逃したりする可能性があります。結果として、自分の望むように最期を迎えることが難しくなり、大切な人生の最後の時間が自分の思い通りにならないという悔いを残すことになるかもしれません。
終活は、何歳から始めても問題ありません。気になったタイミングで、ご自身の人生の棚卸しを始めてみてはいかがでしょうか。
特に、遺言書の作成や医療の意思決定に関する情報共有は、自分の望む最期を迎えるために欠かせない内容です。自分の意思を明確にし、終活を怠らないことで、より充実した未来と幸せな老後を迎えることができるでしょう。
②家族が苦労する
終活を後回しにしていると、家族に多大な苦労を強いる可能性があります。終活は、自分自身だけでなく、家族の未来を考える大切なプロセスです。
終活を怠ることで、家族は様々な面で苦労を経験するかもしれません。例えば、遺産や財産の整理がなされていない場合、家族は膨大な手続きや問題解決に直面することになります。遺産分割や相続手続きは複雑で時間がかかるため、終活を行わなかった場合には家族の負担が増えることが考えられます。
また、終活を行わなかったことによる家族の苦労は、精神的・感情的な面でも影響を及ぼすかもしれません。終活を行わなかった場合、家族は自分の代わりに重大な決定を迫られるかもしれません。思いやりのある遺言や最期の意思表明がないと、家族間で意見の対立が生じ、家族の絆が揺らぐ可能性も考えられます。
終活を行うことで、家族にかかる負担を軽減することができます。遺産の整理や遺言書の作成は、あなたがいなくなってしまった後も、家族が円満に未来を迎えるためのサポートとなります。
③第三者の目線でのチェックをする機会を逃す
終活を怠ると、第三者の目線でのチェックを逃してしまう可能性が高まります。家族や親しい友人は、自分のことを理解してくれる人々ですが、時には感情的になりがちで客観的な意見を述べることが難しいかもしれません。そのため、第三者の専門家の意見を取り入れることで、冷静な視点からのアドバイスを得ることができます。
終活を行う際には、遺言書の作成や医療の意思決定においても、第三者のアドバイスが重要です。自分自身の考えを整理し、家族や専門家の意見を聞くことで、適切な判断を下すことができます。第三者の目線でのチェックを取り入れることで、終活の質を向上させ、未来への準備をより正確なものにしていきましょう。
終活を行う際のメリットと具体的なステップ
終活を行うと、主に3つのメリットがあります。
①自分の希望を反映した生き方や最期を迎えることができる
終活を行うことで、自分の希望や価値観に基づいた生き方を選択し、最期を迎えることができます。遺言書の作成や医療や治療に関する意思決定を明確にすることで、自分が望む形で生きることができるため、心の安らぎや満足感を得ることができます。
②遺族に負担をかけずに残された時間を過ごせる
終活を行うことで、遺族に残された時間を過ごす際に多くの負担をかけることを防ぐことができます。遺産や遺品整理、葬儀の手続きなどがスムーズに進行するため、遺族は精神的な負担を軽減することができます。これにより、残された家族との大切な時間をより充実したものにすることができるでしょう。
③財産や遺産の整理を行い、家族間の紛争を未然に防ぐことができる
終活には財産や遺産の整理も含まれます。遺産分割や遺言書の作成などを行うことで、遺産相続における紛争を未然に防ぐことができます。明確な遺言や意思表示を残すことで、家族や親族間のトラブルを避けることができるため、遺産の処理が円滑に進むでしょう。
これらのメリットを理解したうえで、以下のステップで終活を実施することをおすすめします。
- ①身の回りの物を整理する
- ②医療や介護における、自分自身の希望をまとめておく
- ③葬儀の規模を考え、資金についても準備しておく
具体的に、実施した方が良い内容については、以下のコラムで記載していますので、是非参考にしてみてください。
終活を始めるベストタイミングとは?
改めて結論をお伝えすると、終活はいつから始めても全く問題はありません。
体力の衰えや環境の変化をきっかけに終活を意識する方が多くいらっしゃいますが、「まだ終活を始めるには早いかも」という方でも終活を始めるメリットは多くあります。
ただ、いつから始めてもいいよと言われると困ってしまいますよね。
そこで今回は、3つのフェーズに分けて終活をはじめるべきタイミングとその内容について整理しました。
50~60歳:定年前準備期間
「人生100年時代」と言われる現代では、定年退職後の人生は20~30年と長いです。第二の人生を充実したものにするために、定年退職後のライフプランを考え、実際に準備に取り掛かってみることをおすすめします。
その中で、自分自身の考え方や資産の棚卸しを行い、「終活」のための整理も併せて行ってみましょう。
60~75歳:定年退職後のライフプラン実現期間
実際に50~60歳に考えたライフプランをやりこんでみることをおすすめします。
再雇用先で仕事をやりこんでみたり、全く違う仕事を納得がいくまでやってみたり、起業して事業を安定化したり―。自分らしく人生を楽しむため、新たな環境あるいは心持ちでライフプランの実現に向けて活動してみましょう。
そしてその活動の中で考えたことや、得られた資産について改めて整理し、エンディングノートに記していきましょう。
75歳~:自分らしく豊かに過ごす期間
今までの人生を振り返りつつ、自分らしく人生を終えることについて考えていきましょう。そして、家族や自分自身の「生きがい」と呼べる活動を、十分に楽しむことが重要です。美しく人生を終えるための最終ステップといえるでしょう。
まとめ
終活を怠ると、老後に不安を抱えるリスクが増えますが、上記のポイントを実践することで安心な未来を築けます。自分の希望を整理してエンディングノートに反映することで、家族の負担を軽減し、絆を深めることができます。
終活は未来への投資であり、今から始めることで心の安らぎと充実した老後を迎えることができるでしょう。