孫の夢を応援したい!贈与税を考慮した資金援助の方法とは?

今回は、孫の夢を応援したい方からのご相談です。教育資金の贈与に関する税制優遇制度を解説いたします。ぜひご参考ください。

相談者からの質問

私は70代女性です。おかげさまである程度の資産があります。最近、中学生の孫が医者になりたいと言うようになりました。医者になるためには、医学部に入らないといけないし、そのためには私立学校に通ったり、塾に入らないといけないように思います。そのためにはそれなりにお金がかかりそうですが、私の娘夫婦はまだ若いこともありそれほどの資産はないと思います。私が出してあげたいのですが高い贈与税がかかったりするのでしょうか。

回答

教育は最高の投資だと思いますので是非お孫さんの夢を叶えてあげてほしいです。

おっしゃる通り、通常は110万円を超える贈与がなされた場合、贈与を受けた人に贈与税が課されます。これがかなり高い税率なので、贈与をしたくてもできないというケースが多いです。一方で、子供や孫のための教育資金としての利用を制限することは妥当ではないのではないかということで、「教育資金の贈与の特例」制度ができました。

この制度は、要するに、30歳未満の受贈者に対して直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合、受贈者一人当たり最大1500万円までが非課税になると言うことです。色々な条件はありますが、医学部進学/私立中学高校/進学塾の費用は当然含まれますので、貴方がお孫さんのために1500万円を贈与することは最高のプレゼントになりそうです。また、1500万円が貴方の財産から減ることになりますので、同時に相続税対策にもなりますね。

ただし、色々と注意点があります。

一つは、1500万円を直接貴方のお子さんやお孫さんに送金することはできないということです。この制度を利用するためには、信託銀行や銀行などの金融機関と「教育資金管理契約」を結んで教育資金口座を別途開設する必要がありますし、その金融機関に、毎年教育資金として使用したことを証明するため領収書を提出する必要があります。教育のために使わないといけないので他の運用への転用ができないことや、お孫さんが30歳になるために使い切らないと残額に対して贈与税が課税されることも注意しておきましょう。

この制度は、2023年3月末まで延長されていましたが、その後さらに延長され現在は2026年3月31日まで適用可能となっています。贈与するならお早めに対応するのがいいと思います。詳しくは税理士さんに相談しましょう。

まとめ

教育資金の一括贈与特例について解説いたしました。今回のご相談のように、お孫さんに医学部進学という具体的な目標があり必要な教育費用がある程度明確な場合は、税理士さんへご相談の上、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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