娘が再婚に反対しています

今回は、70代富裕層男性の再婚問題についての解説です。娘さんの再婚反対の本当の理由はどこにあるのでしょうか。

相談者からの質問

私は70代男性です。おかげさまでいわゆる富裕層と呼ばれる人生を送ってきました。妻はだいぶ前に亡くなっており、40代の娘が1人いますが、最近再婚を考えています。ただ、再婚相手が娘と同世代の女性ということもあり、娘は再婚に反対しています。反対する理由を聞くと、お金じゃない、亡くなった妻に対する誠意を見せてほしいと言われました。

回答

貴方は現在独身ですので、先方の女性(仮に「Aさん」としましょう)も独身であれば法律上今すぐにでも結婚できます。娘さんが反対しても、貴方はそれを押し切って再婚することはできます。ただ、やはり無理に押し切って再婚するよりは、娘さんの理解を得て再婚する方が幸せな老後を過ごせるだろうと思います。

まずは、娘さんの反対する本当の理由を把握しましょう。

例えば、貴方がAさんと結婚すると、あなたが亡くなった時Aさんは相続人となり、遺言がなければ、貴方の遺産の半分を相続することになります。逆に言えば、娘さんは100%相続するはずが50%に半減するわけですから、不満に思うのは当然でしょう。

もちろん娘さんは、お金ではないと言うでしょう。多くの人はそう言います。しかし、現実にはお金の問題と誠意の問題を混同している場合が多いように思います。特に日本人は自分がお金に卑しい人と思われることを極度に嫌うので、誠意という言葉で濁すことがとても多いです。ですので、お金じゃないという娘さんの言葉を額面通りに受け取るのではなく、経済的な分配方法を考えておく必要があると思います。例えば、Aさんとは再婚するけれども、75%を娘さんに相続させる遺言書を書いておくなど説明することです。

一方、Aさんとの関係でもきちんと整理をしておきましょう。Aさんは本当にお金目当てであり、愛情などないかもしれません。貴方がそれでもいいと思えるかだと思います。世の中には後妻業というものが存在します。Aさんの内心がどうあれ、貴方に癒やしや安らぎを与えてくれる人であれば再婚してもいいと思えるかどうかです。ただし、やはりお金の問題は別途慎重に考えるのがいいと思います。Aさんに対して、再婚はするけれども遺産の多くは娘に相続させる遺言を書こうと思っている、と話してみるといいと思います。その時のAさんの態度でだいたいのことがわかるでしょう。

まとめ

高齢者も1人で生きていくより2人で生きていく方が力強く、幸せに生きていける側面もあります。何が幸せか、は本人が決めることですが、勢いで再婚するのはいい結果にならないと思います。

Aさんと娘さんを引き合わせるなどして、お金のことも含めて時間をかけて理解してもらうことが大事です。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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