離婚して、子どもの親権者が死亡した場合、親権は誰になるのか?

様々な事情で離婚に至り、一度親権者を決定しても、その後病気や事故・事件などの理由で亡くなることもあります。その場合、子どもの親権者は自動的にもう片方の親にうつるのでしょうか。

本コラムでは、親権者が死亡した場合の手続きや未成年後見人について、相談者さまからの質問に回答する形で解説していきます。

相談内容

数年前に夫であったAと離婚しました。その際、息子Bの親権の取り合いとなりましたが、離婚調停を経て私が息子Bの親権者になりました。

ただ、残念なことに私は病気でもう先が長くないようです。Bはまだ小学生です。Bは私と私の父Cと同居しています。私が亡くなっても、父Cと一緒に暮らしてほしいと思います。私が亡くなった場合、Aに親権が移るんでしょうか。それを阻止することができるでしょうか。

回答・解説

大前提として、親権者であるあなたが亡くなった場合でも、父親であるAに自動的に親権が移るわけではありません

AがBさんの親権者になりたい場合は、家庭裁判所に親権者変更の申立てをして、家庭裁判所が子供の福祉を考慮してAが親権者として適格性があると判断されれば、Aが親権者となります。その際の判断要素としては、Bの年齢や、Bの意向、従来のAとBの関係性や、Aの生活力などが総合的に考慮されます。

本件では具体的な事情はわかりませんが、特に反対の事情がない限りはAさんが新しく親権者となる可能性は高いと思われます。

それを防ぐための一つの方法としては、遺言で未成年後見人を指定しておくことです。例えば、Bと同居しているあなたのお父様Cを未成年後見人として指定するということです。そうすれば、CさんがBさんの法定代理人という立場になりますので、Aさんが親権者変更の申立をした場合に、Aさんへの親権変更が認められない可能性が高まります。

もっとも、Aさんへの親権者変更が認められる可能性をゼロにすることはできず、家庭裁判所の総合的な判断でAさんが親権者となる場合はありますので、その点はご留意下さい。

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