遺言執行者になるとはどういう意味でしょうか

遺言執行者になる意味と、役割と責任、メリット・デメリットを解説いたします。

相談者からの質問

私は50代男性会社員です。先日、母親から遺言書を作成することを考えていると聞きました。そして、私を遺言執行者として指定しておきたいということでした。遺言執行者というのは責任があって面倒な印象がありますし、そもそも私が対応できるか自信がありませんので、断りたいと思っています。私ではなく弁護士さんに遺言執行者になってもらうというのはどうでしょうか。そもそも遺言執行者というものを選ばないといけないのでしょうか。

回答

遺言執行者とは、遺言者が遺した遺言の内容を実現する人です。相続人全員の代理人として、単独で相続手続きを実行する権限と義務があります。例えば、遺言書に「〇〇にある土地はAに遺贈する」という文言がある場合は、遺言執行者のみがAへの遺贈手続を進めることになります。

遺言執行者を絶対に選ばないといけないかは、遺言書の内容によって決まります。例えば、子供を遺言で認知する場合には、認知届をしなければいけませんが、これは遺言執行者がいなければ不可能です。

逆に、単に、不動産を長男に相続させ、預貯金を次男に相続させる、といったオーソドックスな遺言書の場合は、必ずしも遺言執行者を選任しなければいけないわけではありません。しかし、遺言執行者を選任していないとなにかと手続が不便です。例えば、次男さんが預貯金を相続しようと思っても、銀行から、遺言執行者を選任してもらわないと手続きできませんなどと言われ、結局家庭裁判所に「遺言執行者選任の申立」を行わないといけなくなります。ですので、特にこだわりがない場合は遺言執行者を選任しておくのがいいと思います。

そして、遺言執行者として誰を選ぶかは自由です。ただ、実際には、長男、同居している子、弁護士、を遺言執行者とするパターンが多いように思います。

まとめ

以上からすると、お母様が貴方を遺言執行者を指定しておくのはとてもいいことだと思います。一般的な内容の遺言であれば、専門家でなくても遺言執行者は務まると思います。弁護士に依頼するとその分の報酬金がかかりますので、子供に任せたいというのは理解できます。実際に遺言執行者としてなにをやっていいかわからない場合は、そのときに弁護士などの専門家に相談することでも遅くはありません。せっかくお母様が貴方を信頼しているのですから、応じることをお勧めします。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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