財産を世の中のため、特にエネルギーある若者のために使いたい

昨今シニア世代から、社会貢献や資産活用への関心が高まっています。今回はその選択肢のひとつとして次世代への投資について解説いたします。

質問者からの質問

私は70代女性です。夫に先立たれ、子供はいますが立派に独立しています。一方で、私は商売がうまくいき大きな財産を築くことができました。このお金を、社会のために使いたいと思っていますが、どのような使い道がいいでしょうか。私自身はもう働く気力はありませんが、若者のために使って私自身もワクワクできるのがいいと思っています。

回答

社会のためにお金を使うというのは素敵ですね。

返済を予定しない社会貢献としてのお金の使い方の代表は、寄付です。

諸外国では寄付は一つの文化となっており、経済的に成功した方々が寄付をしています。日本ではあまり寄付文化は根付いておらず寄付総額はアメリカの40分の1程度と言われています。もっとも、寄付型クラウドファンディングも普及してきましたし、ふるさと納税は返礼品のある寄付でもあり、徐々に市民権をえてきていますので、今後寄付文化が根付くといいと思います。寄付先によっては、寄付金の使い道を指定できますし、寄付金控除の適用を受けることができるというメリットもあります。

ただ、一般的に、寄付をしたらそこで終了です。継続的な関係性が構築するわけではない点で若者のために使ってワクワクしたいという希望には沿わないように思います。

そこで、「エンジェル投資」をお勧めします。

投資も立派な社会貢献です。お金を企業の成長のために使うということです。その企業の経済活動が社会に貢献するものであれば、貴方のお金が更に拡張して社会貢献につながることになります。

起業してまもないベンチャー企業は、特定の目的に向かって熱い情熱を持って日々活動を行なっている一方で、信用や人材の不足によって常に資金調達に悩まされています。そのため、リスクが高めの初期段階で投資してくれる個人投資家のことをエンジェル投資家と言います。エンジェル投資をするということは、その企業の株式を相当割合保有するということですので、その企業との濃い関係が一生続きます。共感できる目的に向かって進んでいる若い企業に対してエンジェル投資をするというのが、とてもワクワクできるお金の使い方ではないでしょうか。税制優遇策も用意されていますし、この企業が大化けすれば保有株式の株価が何十倍になるかもしれないという楽しみもあります。

もちろん投資には変わりませんので、さまざまなリスクがあります。この辺りは、投資に慣れていないのであれば、専門家や信頼できる人に助言を仰ぐのが良いように思います。

まとめ

今回は、社会貢献や資産活用の選択肢として、エンジェル投資について解説いたしました。ベンチャー企業への投資で、社会に貢献しながらワクワクも体験できるかもしれません。税制優遇もありますので、ご興味のある方は一度調べてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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