親への暴力を理由に子どもに相続させない方法とは?

家族間のトラブルは非常にデリケートな問題ですが、ときには法的な手段を取らざるを得ない状況もあります。特に、親に対して暴力をふるう子どもに財産を相続させたくないという相談は少なくありません。このような場合、単に遺言書を作成するだけでなく、「廃除」という法的な手続きを考慮する必要があります。

この記事では、親への暴力を理由に相続をさせない方法について、具体的なケースを通じて解説します。

相談内容

私Xは80才です。両親は既に亡くなっており、夫も5年前に他界しました。子供が息子Aと娘Bがいます。ただ、この息子Aは私に暴力ばかり振るうし、私のお金を盗んだりもします。このような息子Aに私の財産を1円も相続させたくありません。こないだ友達に相談すると、娘Bに全部の財産をあげるという遺言を書けばいいんだよとアドバイスされましたが、本当にそれだけで息子Aの取り分をゼロにできるのでしょうか。

今回の場合は、相続人は息子Aと娘Bの二人ですね。ですので、本来、AとBは50%ずつ相続することなりますね。そうすると、Xさんとしては、Bの取り分を100%とする遺言書を作成したくなりますね。ただ、この場合気をつけなければいけないのは、遺留分という制度です。
遺留分とは、簡単に言うと、相続人が最低限保証されている取り分です。今回の場合で言うと、Aは全体の25%の取り分を遺留分として保証されているのです。ですので、Aの取り分をゼロにすることはできません。
それではどうすればいいのでしょうか。今回のケースでは、AはXさんに暴行したりお金を盗んだりしています。この場合は、「廃除(ハイジョ)」が認められる可能性があります。
廃除というのは、相続の資格を剥奪するということです。家庭裁判所に廃除が認められれば、Aの取り分をゼロにすることができます。

1

この記事を書いた人(堤)

author image
この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

1