「人生100年時代」という言葉がますます現実味を帯びてきました。科学と医療の進歩により、私たちの寿命は飛躍的に延びており、90代や100代で健康な状態で過ごすことが当たり前となりつつあります。しかしその一方で、長寿に伴う課題も浮き彫りになってきました。それが「老後資産の確保」です。
老後を安心して過ごすためには、何よりもまず健康が第一です。老後の充実した趣味、大切な人との楽しい時間…これらを実現するためには、若いうちから健康への投資が不可欠です。
そして、健康な状態を保つことは老後資産の確保にもつながります。例えば、健康な状態を維持することで医療費の削減につながるだけでなく、元気に社会参加できるため、副業や趣味を通じて収入を得る機会が広がります。
「老後資産」と聞くと、お金の運用や投資が思い浮かぶかもしれませんが、健康こそがその土台となるのです。健康を維持することで、医療費のリスクを軽減し、長期間にわたって収入を確保し続けることが可能です。逆に健康が悪化すると、高額な医療費や介護費用が老後資産を圧迫する要因となるでしょう。
このように、「老後資産確保のための最高の方法は健康維持」という言葉は、単なるフレーズに留まらない深い意味を持っています。私たちは人生100年時代を迎え、その長いスパンで健康を保ち、充実した老後を過ごすために、今から行動を起こすことが大切です。健康な体と心こそが、確かな老後資産を築く最も価値ある投資なのです。
今回のコラムでは、相談者からの質問に回答する形で、具体的な数字も交えながら、健康維持と老後資産の確保の関係性について解説していきます。
相談内容
私はつい先日定年退職したばかりの男性です。子育ても一段落しまして、妻との老後の生活が関心事で、老後必要なお金がどのくらいかかるかを計算したりしています。当然ではありますが、私達が長生きすればするほどお金がかかります。年金だけでは足りないのでどこかで働いて収入を得ようと思いますが、そのような考え方でいいでしょうか。
回答・解説
そうですね、老後の生活を快適に過ごすためには、一定のお金を確保しておくことが必要になります。年金だけで快適な生活ができればいいのですがそうもいきません。あなたの現在の資産状況にもよりますが、年金収入以外の収入がない限りは、貯蓄は徐々に減っていき、長生きすればするほどリスクが大きくなるというジレンマがあります。したがって、年収入以外の収入源を確保しようとするのが重要なのはいうまでもありません。
ただ、今回は、健康を維持することこそが最も効果的だという話をしたいと思います。日本人の寿命は男性81.64歳、女性87.74歳です(厚生労働省作成:令和元年簡易生命表の概況)。一方で、健康寿命(=健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は男性72.14歳、女性74.79歳です(厚生労働省作成:第11回健康日本21推進専門委員会資料)と言われています。つまり、男性は9年、女性は13年くらい健康ではない状態で生活をするということです。
この間、主に医療費や介護費用などの費用がのしかかります。また、働いて収入を得ることができる期間が短縮するので、資産が増えない一方で減り続けるという二重苦となります。したがって、寿命と健康寿命の差を最小化し、稼働期間を長くし支出を抑えることができれば、この二重苦をクリアできます。これが何よりの資産運用と言えるのです。
月並みではありますが、食事に気をつけて、定期的な運動を行い、過不足のない睡眠をすることが大事です。健康管理自体が資産運用だと思えれば、モチベーショも上がるのではないでしょうか。