定年退職後も働いた方が良いのか?

「定年退職後も働いた方が良いのか?」――人生100年時代と言われる現代において、これは多くの人が直面する重要な問いです。定年を迎える前から、自身の将来を見つめ直す「定活(定年前活動)」という言葉も出てきています。

一部の人にとっては、定年後の休暇と自由な時間が望ましいものかもしれません。

しかし、働くことは社会的な結びつきを感じることができたり、自分のアイデンティティや自尊心を維持することを助けてくれます。また、働くことで老後の資金を安定的に得られるというメリットもあります。

今回は、相談さまの質問に回答する形で、直近のデータも踏まえて弁護士が解説します。

相談内容

私は、50代の会社員です。私の会社では現在は60歳が定年となっています。ただ、人生100年時代と言われていますし、私自身それほど自分が老いている自覚もありません。定年退職したら退職金を元手に妻と悠々自適な生活を送りたいと思っていたんですが、老後が長ければやはり働いた方がいいような気もしています。退職後の人生設計をするに当たり実際のところなにか気をつけることはありますか?

回答・解説

平均寿命は、現在男性が81.64歳、女性が87.74歳です(厚生労働省:令和元年)。また、この数字は今後も伸びていく見込みです。そうすると女性はもちろん男性の多くが100歳まで生きる可能性がある時代となっています。そもそも定年が60歳というのが、現代に合っていない制度のように思われますね。実際に、周りの60歳前後の方々を見回しても、一昔前の60歳の方々と比べてとても若々しく感じます。

また、日本の生産人口の減少も鑑みると、60歳で現役引退するというのは全く不合理であり、働ける人が何歳までも働ける環境を整備することが、日本経済のためでもあり、個々人の老後の生活の充実にもつながるように思われます。

そういうこともあり、高年齢者雇用安定法という法律の改正によって、企業に対して、希望者に対する65歳までの雇用を義務付けるなどの制度が設けられました。また、再雇用制度や勤務延長制度など、定年を迎えた人に対しても働き続けることができる制度が徐々に整備されてきています。

一方で、年金支給開始年齢も65歳からの引き上げが常に議論の対象となっています。将来的には年金支給開始年齢が70歳となってもおかしくありません。

いずれにせよ、60歳で退職してその後は働かずに悠々自適に生活するという選択肢は少数者のものとなりそうです。60歳以降も働ける健康を維持すること、60歳をゴールとすることなく何歳になっても継続的にスキルアップを目指すこと、社外のネットワークを構築しておくこと、資産を形成しておくこと、を考えておくのがいいと思います。

また、あなたの能力や経験やネットワークを活かして、起業に挑戦するというのもよさそうですね。

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