叔母の遺産は誰の手に?遺言書の有無によって変わる相続手続き

「親族が亡くなったとき、その遺産はどう分配されるのか?」といった疑問は、多くの人にとって関心が高いテーマです。特に遺産相続では、遺族同士での話し合いがスムーズにいかないことも多く、遺産分割が原因で関係がぎくしゃくしてしまうケースも少なくありません。

そこで鍵を握るのが「遺言書の有無」。しかし、亡くなった方が遺言書を書いているのかわからないケースも多々あります。

そこで今回は、もし遺言書が見当たらない場合に確認できる方法について、相談者からの質問に回答する形で解説していきます。

相談者からの質問:叔母の遺産相続、遺言書がないとどうなる?

先日叔母が亡くなりました。叔母は夫とは離婚しているのですが子供が3人います。ただ、子どもたちとの関係はとても悪かったです。晩年は一人で暮らしており、専ら近くに住む私が面倒を見ていたというのが実情です。

叔母はそれなりに遺産があるようで、子供3人がどうやって分割するかを話し合っているようですが、早速揉めているようです。

一つ気になることがあって、叔母が亡くなる前に、私に遺産を遺す内容の遺言を書いたと言っていたのです。私は冗談だと思ってなにも気にしていなかったのですが、関係性の悪かった子供たちにとられるよりは私が受け継いだ方がいいのではないかと思ったりもします。
叔母の家を探しましたが遺言書は見当たりませんでした。諦めるしかないでしょうか。

遺言書が見つからないとき、まず確認すべき2つの方法

遺言書がなければ、叔母さんの遺産は法律の規定通りに分配されますので、子供3人で分け合うことになりますね。ただ、あなたに遺産を遺す内容の遺言が本当にあるのであれば、話は変わってきます。ですので、遺言書があるかないかはとても重要ですね。

一般的に、遺言書は2種類あります。自筆証書遺言と公正証書遺言です。(本当は、秘密証書遺言というのがあるのですがほとんど使われていないのでここでは割愛します)
自筆証書遺言というのは自分で書いて自分で保管するものです(本当は、自筆証書遺言書保管制度という新しい制度が始まりましたがここでは割愛し、後日解説します)。ですので、自筆証書遺言が見つからないのであれば、次に、公正証書遺言が残されてるかを調べるのがよいでしょう。

叔母さんが書いた遺言書というのが仮に公正証書遺言だとすれば、その遺言書は公証役場に保管されているはずです。ですので、お近くの公証役場に行き、「遺言検索システム」を使って公正証書遺言の有無を確認すると良いでしょう。

なお、遺言検索システムは誰でも利用できるわけではありません。原則としては相続人が利用できますが、利害関係人も利用できる場合があります。今回の場合は、受遺者として利害関係人と認められるようにも思いますが、詳細については弁護士さんに相談するのがよいと思います。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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