破産手続中に父が逝く-家族の選択-

今回は自己破産手続き中に亡くなったお父様の借金に関するご質問です。破産開始決定後の相続問題とは?債務を引き継ぐのか?わかりやすく解説いたします。

相談者からの質問

私は40代男性です。私は全く知らなかったのですが、父は多額の借金を抱えており、自己破産の手続きを行っていたそうです。ただ、その手続中に亡くなってしまいました。その場合、私はこの借金を相続することになるのでしょうか。破産開始決定というものは出ているそうですので払わなくてもいいのでしょうか。それとも私自身が破産しなければいけないのでしょうか。

回答

多額の借金を抱えており、返済することが困難な場合、裁判所に破産の申立をすることができます。そして、破産手続を開始するという決定を経て、免責決定を得ることができれば、貴方のお父様は返済義務を免れることになります。

本件では「破産開始決定」は出ているということですが、破産開始決定というのは、債務者が返済をすることができない状態であることが認められただけであって、返済をしなくてよいということまでは認められていないわけです。

ですので、結論からすると、貴方はお父様の借金を相続することになります。

貴方がこの多額の支払い義務から免れるためには、相続放棄という手続きを行うことをおすすめします。家庭裁判所でこの手続きを行えば、貴方は支払い義務を相続しなくてよくなります。なお、プラスの財産も相続できないのでご注意下さい。

相続放棄の手続は、相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内です。これを超えてしまうと相続放棄ができなくなります。つまり、貴方は多額の借金を相続することになり、これが支払えなければ、貴方自身が破産申し立てをしなければなくなることになりますので注意しましょう。弁護士などの専門家に相談するのが必須だと思います。

まとめ

相続と破産の関係は複雑です。個々の状況によって対応が変わってきますので、早めに専門家に相談し手遅れや後悔のないよう、手続きをすすめましょう。

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この記事を書いた人(堤)

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この記事を書いた人
弁護士
堤 悦朗
福岡県福岡市出身。上智大学外国語学部卒業。弁護士(2009年弁護士登録)。

大手法律事務所パートナーを経て2018年に独立開業。2019年MBA(九州大学)。本サービスの源流となるリーガルテックについて執筆した論文が南信子賞(最優秀賞)受賞

TVQ情報番組「ふくサテ」に終活の専門家として出演するなどメディア実績あり。

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