今回は自己破産における退職金との関係について、詳しく解説いたします。
相談者からの質問
私は50代男性会社員で、定年退職を間近に控えています。退職金は1000万円ほどもらえる予定です。一方、実は500万円ほどの借金を抱えており、自己破産を検討しています。しかし、退職金がもらえなくなるとすると、私の老後資金はなくなります。虫がいい話で恐縮ですが、老後資金の確保のため、自己破産をした上で退職金はもらえるような方法を教えて下さい。住宅ローンはありません。
回答
自己破産をする場合、99万円を超える資産は債権者への返済に当てられるのが原則です。そして、退職金もあなたの資産ですので、この退職金の金額を前提に、債権者への返済に当てられる金額が決まっていくことになります。
貴方はまだ在職中ということですので、退職金予定額の8分の1である125万円が、財団に組み入れられます。「財団に組み入れられる」というのはわかりにくい言葉だと思いますが、要するに、債権者の返済に回されるということです。実際には退職金はまだもらっていないわけですから、預貯金から支払ったり、保険を解約して返戻金で支払ったりします。ですので、厳密に言うと、破産手続き終了後退職したときには、退職金はそっくりそのままもらえることになります。
退職金をまだもらったわけではないので、破産手続きでは、支給額を低めに申告すれいいのではないか、退職金はもらえないと申告すればいいのかではないか、と思われるかもしれません。しかし、破産手続きにおいては、会社が発行する退職金見込額証明書というものを提出しないといけないですし、退職金がない場合はそれがわかる就業規則などを提出しないといけませんので、ごまかすのは難しいと思います。そもそも裁判所に嘘を付くというのは大きなリスクですのでやめたほうがいいです。
まとめ
まとめると、退職金をまるまるもらえることはできなさそうだが、全部とられるわけではないということです。なお、退職金をもらった後の段階で破産手続きをすると、全額が財団に組み入れられます。また、退職はしたがまだ退職金をもらっていない段階で破産手続きをすると、4分の1が財団に組み入れられます。貴方は定年退職を間近に控えているということですので、傷口をできるだけ小さくするためには、できるだけ早く破産手続を開始するのがいいということになりそうです。詳しくは弁護士さんにご相談下さい。