今回は家系図について、2つの意味による視点から解説いたします。ぜひご参考ください。
相談者からの質問
私は、終活をしている者ですが、先日、知人から正式な家系図を作ったと聞きました。数十万円の費用で専門業者にきれいな巻物風のものを作ってもらったそうです。私の家は特に名家というわけでもなく、そういう家系図が必要とは思わないのですが、終活に関して家系図を作っておいた方がいいことは何かありますか?
回答
家系図を作ることは主に2つの意味があると思います。一つは、祖先への敬意や家族の絆を再確認するという「情」の意義です。もう一つは、相続手続きにおいて必要となるという「理」の意義です。
家系図を作成する過程で、今まで知らなかった祖先の歴史を知ることがあると思います。その度に祖先の行為が自分がいまここにいることにつながるという奇跡を実感することがあると思います。その上で、祖先から受け継いだバトンを次世代にきちんと繋ごうなどと思いを馳せることもあると思います。それは名家かどうかは関係ないように思います。そういう情の部分で家系図を作成することには意義があると思います。
一方、相続との関係では、貴方が亡くなった場合、遺族の方が遺産分割協議書を作成したり、銀行預金口座の解約をしたり、相続による不動産の登記申請をする際に、相続人の範囲の確定という作業をしなければなりません。2017年に不動産登記規則が改正され、法定相続情報証明制度という制度が開始されました。これは、登記官が「誰が相続人であるかを記載した法定相続情報一覧図」の写しを認証して相続人に交付するので、その後の各種手続きで利用できるもので大変便利な制度です。こういった手続きをする際に家系図が手元にあるだけで手続きがスムーズに進むメリットもあると思います。
まとめ
上記で書いたことは家系図がなくても実践可能なことですので、家系図は作成しなければいけないものというわけではありません。今は自分で手軽に家系図を作れるアプリもありますので、まずはそれで作ってみて、本格的なものが欲しいと思えば、専門業者さんに依頼するのもいいように思います。